最高のおひなさまご紹介するのは、28歳の主婦の方が新聞に投書されていたものです。以下、投書です。 ---------------------------------- 私は4人姉妹の長女として育ちました。 私が小学校3年生の時、友だちが、 「うちは大きなおひなさまの人形を買ったんだ」と、 教室で自慢をしました。 そして、その子が私に問いかけてきたのです。 「あたなの家は、女の子が4人もいるから、 さぞかし立派なおひなさまが家にはあるんでしょうね」 私の家は貧しくて、人形を買うお金などありませんでしたが、 「うちの家にはない」と素直に言えずに、 情けない思いをしながら、家に帰りました。 そして泣きながら、そのことを母に打ち明けたのです。 すると母は、 「うちには、かわいいおひなさまが4人もいるから、 お母さんは人形なんてなくてもいいよ」と言ってくれました。 私はとても嬉しかったです。 そしてお風呂あがりに、出窓のところにふろしきを敷いて、 それをひな壇に見立てた母が、お風呂あがりの湯気の立つ娘たちを、 一人ずつ並べて人形代わりに座らせました。 母は離れて眺めたり、近くによって髪の形や寝巻きを整えてくれたりしました。 母が、「どの子が一番かわいい人形かな?」と言うので、 私たちはみんな精一杯のすまし顔で母を見つめました。 母は腕組みをしてうなっていましたが、 「みんなかわいいね。うちのおひなさまは、どこの家の人形よりも一番かわいい」 と言ってくれました。 私たち姉妹は、そのひと言でとても満足でした。 そして母の提案で、折り紙でおひなさまを作って大きなダンボール箱に段々に貼り付けました。 これがわが家のひな人形となって、何年もの間、桃の節句を祝ってくれました。 高価な人形よりも、この不ぞろいなおひなさまの方が、私たち姉妹には素晴らしく思えました。 母は私たちに、お金では買えないものをたくさん与えてくれました。 子どもの心をいつも明るく受けとめてくれました。 感謝の思いを込めて、今ここに投書します。 ---------------------------------- いかがでしたか? 心豊かなお母さんですよね。 子どもたちに、お金では買えない幸せをたくさんプレゼントされたんでしょうね。 もし、このお母さんが、 「よしわかった!頑張って稼いで、よその家に負けないような、 立派なひな人形を買ってやろう」というように、 物(=人形)やお金によって解決しようとしていたら、 (もちろんそれも愛情だと思いますが、) 子どもたちに、お金では買えない豊かさを味わわせてあげることは、 できなかったかもしれませんね。 今ここにある幸せを見出し、それを喜ぶ。 そんな心豊かなお母さんに感動しました。 |